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玉城 愛子

Tamashiro Aiko

楽しく、ハッピーに
「好き」に向かって一直線

今回訪れたのは「生き甲斐のある生涯を支援する!」をミッションに放課後等デイサービスや障害者就労支援を展開する沖縄県糸満市の社会福祉法人トゥムヌイ。お話をうかがったのは、就労をしながらアート活動を続ける玉城愛子(たましろあいこ)さん、そして、支援員の照屋有紗(てるやありさ)さんです。

玉城愛子(たましろあいこ)さん(左)と、支援員の照屋有紗(てるやありさ)さん(右)。取材中、二人で微笑みあう場面がよく見受けられました。

玉城愛子(たましろあいこ)さん。カラフルでハッピーな作品・作風が印象的です。

 

焼肉屋さんの仕事の休憩時間で、アート活動を。

玉城愛子さん(以下、玉城さん)は、普段、沖縄県糸満市内にある沖縄式島豚焼肉ばんないで働いています。今、担当しているのは主にスタッフのまかないづくり。週に5日、9時から16時まで仕事をしていますが、その合間の休憩時間を使って、作品づくりを続けてきました。

 

支援員の照屋有紗さん(以下、照屋さん)によると「アート活動の時間は特別に設けていないけれど、気づいたらこんなにたくさんの作品が出来上がっていた」と。

 

休憩時間は1時間。玉城さんは、最初の20-30分で食事をし、残り時間で制作に取り組みます。

普段制作を行うスタッフの休憩室に並べられた玉城さんの制作物。こ城さんの作品づくりにれらはほんの一部です。

 

制作風景を拝見させてもらいましたが、そこには一切の躊躇が見られません。迷いなく線を引き、直感的に色を選び、塗っていく——取材陣である私たちという、いつもは存在しないギャラリーがありながらも、集中し、迷いなく、一直線にどんどん描き進める玉城さんの姿が印象的でした。

作品づくりに打ち込む玉城さん。ギャラリーを気にすることなく、迷いなく線を引き、描き上げていきます。

 

一緒にいるとみんなが楽しくなる!
職場のムードメーカー

玉城さんは、いつ頃から制作を始めたのでしょうか。

絵を描き始めたのは小学生の頃。絵を習ったことがきっかけでしたが、いつしか「自分で考えて描きたい」と思うようになっていったそうです。

 

玉城さんには知的障害があり、15年前、社会福祉法人トゥムヌイが運営する障害者就労支援施設イノーでの就労を始めました。それから現在まで、休憩時間での作品づくりを続けてきました。

 

玉城さんは「今の仕事は、とても楽しい」と笑みを浮かべます。また、支援者の照屋さんは「愛子さんがいるとみんなが楽しくなる、職場のムードメーカーです」と教えてくれました。

玉城さんが絵を描くときに使う画材の一部は、職員の方から誕生日にプレゼントされたものだそう。また、玉城さんも、折り紙や手づくりのメダルなどを職員にプレゼントしたりすることもあるとか。

 

とってもフレンドリーな玉城さん。一体、どのような作品を生み出しているのでしょうか。詳しくお話をうかがっていきましょう。

玉城さんが普段使っている画材の一部。色えんぴつケースにあるのは、玉城さん自身が描いたキティちゃんとハート。

 

作風は「カラフル」「ハッピー」

玉城さんの作品の特徴は、何と言ってもカラフルさ。色えんぴつやクーピーを使って制作することが多いそうですが、見ているだけで元気になれるような、ビビッドで明るい色が選ばれています。

 

「どんなことを考えたり、感じたりしながら作品をつくっていますか?」という取材陣の問いかけに、玉城さんは「楽しい」とひと言。

たしかに、玉城さんが生み出した一つひとつの作品からは「楽しさ」が溢れ出てきます。

玉城さんの作品。「大きなコウノトリ」と題された鳥のモチーフのイラスト、ビビッドで明るい色が目を惹きます。

「絵を描いているところを見せてください」との取材陣からの依頼に、臆することなく応えてくれる玉城さん。迷いなく選んだのは黄色やオレンジ、赤などの明るい色ばかりでした。

よく描くモチーフは、花や鳥、魚、動物、お菓子、ハート、サンリオのキャラクター、ロボットなど。本を見て描くこともあれば、見ずに自分で考えて描くこともあるそうです。

 

「好きで、自分が描きたいものを描いている」と玉城さんは話します。

玉城さんの作品。色とりどりの魚や動物たちが並びます。

見ているだけで楽しく、元気になれる。そんな玉城さんの作品・モチーフは、商品化されたこともあります。

 

きっかけはコロナ禍。焼肉屋を閉めなければならなくなったとき、何かできることはないかと考えるなかで、グッズ・商品開発を行うことになりました。

 

そしてつくられたのが、玉城さんや他の利用者が描いたモチーフを使ったポチ袋やポストカード、ご祝儀袋など。これらは、市のイベントや生協等を通じて販売されたそうですが、商品の実物を見た取材陣からは「ほしい!」の声が。味わいのあるモチーフに、カラフルな色味、そばに置くだけで明るく、楽しい気持ちになれそうです。

玉城さんをはじめ、他の利用者さんの描いた作品・モチーフを元に、スタッフがデザインし、商品化していったそうです。

商品化されたポチ袋は、生協でも販売されました。

一人暮らしをして
ロボットをつくりたい

玉城さんは、これからどんなことに取り組みたいのでしょうか? 

今、玉城さんには2つの夢があるそうです。

 

1つめは「将来は一人暮らしをして、ロボットをつくりたい」。

いつか一人暮らしをしたいという夢をもっている玉城さん。今もよく絵のモチーフとして選ぶ「ロボット」を、一人暮らしの家で、思い切りつくってみたい——そんな野望を教えてくれました。

楽しそうに作品づくりや、今後やりたいことについて話してくれる玉城さん。明るい笑顔が印象的でした。

 

そして、もう1つの夢は「いつか展示会を開いて、大好きなSnow Man(スノーマン)に見にきてもらうこと」。

「Snow Manの目黒さんが大好き」と照れながら話す玉城さん。今より展示・発表の機会が増えて、いつか大好きなSnow Manに自分の作品を見てもらえるようになるのが、玉城さんのもう1つの夢です。

 

「好き」に向かって一直線に、楽しく作品づくりに打ち込む玉城さんの夢が、いつか叶いますように。心から応援しています。

「ハッピー アンド エーデルワイス。来年、絵の王様になりたい」。とある作品を描いた際に、添えた説明・思い。「もっと絵がうまくなりたい」という想いを込めて書いたそうです。

 

〜玉城さんの制作風景〜

社会福祉法人トゥムヌイ制作の動画です。ぜひ実際の玉城さんの制作の様子もご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=WgeufCVxIkA

 

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