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大城正雄

Oshiro Masao

細部にこだわり、
ぶれずに
「いすゞ(ISUZU)の車」
をつくり続けて12年

今回訪れたのは「地域に根差し、地域と共に、地域福祉に貢献する」を理念に掲げ、利用者が、地域社会において自立した生活を営む支援を目的とした福祉事業を展開するセルフサポートセンター ぴゅあ。お話をうかがったのは、アーティストの大城 正雄(おおしろ まさお)さん、そして職業指導員の我喜屋 聖子(がきや しょうこ)さんです。

アーティストの大城正雄(おおしろまさお)さん(右)と、職業指導員の我喜屋聖子(がきやしょうこ)さん(左)。大城さんは、控えめな話ぶりながらも、大好きな「いすゞ(ISUZU)」の車について、たくさんのことを教えてくれました。

 

大城正雄(おおしろまさお)さん。大城さんがこれまでつくりあげてきた、大好きな「いすゞ(ISUZU)」の車たちとともに。

 

「いすゞ(ISUZU)の車」をつくり続けて12年

大城正雄さん(以下、大城さん)は、セルフサポートセンターぴゅあの就労継続支援B型「陶芸班」として、作品づくりを行なっています。毎日10時頃から15時過ぎまで、休憩時間を除く4時間ほどが制作時間です。

 

大城さんがぴゅあに通い始めたのは平成25年。大城さんは、当時からぶれずに同じものをつくり続けてきました。大城さんがつくり続けてきたもの——それは「いすゞ(ISUZU)の車」です。

取材陣が訪れた際、大城さんは「運転席」の制作の真っ最中でした。小さくちぎって丸めた粘土を取り付けていく作業は、まるで精密機械をつくるかのよう。

 

大城正雄(おおしろまさお)さんの作品づくりの様子。取材陣が訪れた際、車の土台に、細かな部品を取り付けていく最中でした。

 

一つひとつ手作業でつくられた作品は、細部の仕上げをした後、焼いて、色をぬって完成です。

 

手びねりで素朴な作風は、どこかあたたかみがあります。後で詳しくご紹介しますが、大城さんの作品はとても人気があるそう。

職業指導員の我喜屋さんによると「商品だけではなく作品としても見てほしいから、今はつくりためている最中」だといいます。

 

今までにつくりあげた作品数は、100個を超えます。「100個も?」と驚きましたが、なんと大城さんは、一つの作品を1日でつくりあげるそうです。焼く前の工程までであれば「朝から作業を始めて、夕方には仕上がる」と。驚くような速度と、集中力です。

 

では、一体どうして大城さんは、ここまでの熱意をもって、いすゞの車をつくり続けているのでしょうか。

 

 

「つくったものを使ってもらえるのは嬉しい」

子どもの頃から、ずっと車が好きだったという大城さん。

セルフサポートセンターぴゅあに通う以前は、ガソリンスタンドで働いていたこともあるそうです。大城さんは「特に、運送会社の車が好きだった」と。

そして、平成25年にぴゅあに通い始めてから、いすゞの車をつくり始めました。

 

でも、最初から今のようにつくれたわけではありません。

大城さんの作品の一部。これらすべてが「いすゞ(ISUZU)」の車です。

子どもの頃から車は好きでしたが、大城さんが陶芸を始めたのは12年前(平成25年から)。

最初は、部品がとれてしまったり、きれいにつくるのが難しくて、苦戦していました。でも、試行錯誤を続けるなかで徐々にきれいにつくれるようになっていったといいます。

 

そんななかで我喜屋さんが思いついたのが、大城さんのつくった車を「植木鉢」にするというアイデアです。大城さんがつくったトラックの荷台に、畑班がつくった多肉植物を入れて、販売していく——我喜屋さんのこのアイデアは、奏功します。

 

各所のイベントで販売を始めたら、大城さんのつくった植木鉢を兼ねた車は大好評。どんどん売れていきました。中には、以前イベントで買った方から「今でも飾っているよ」と言われることもあるそう。

車の荷台の部分にあるポツポツとした穴は、多肉植物を植えるために開けられた植木鉢の底穴です。

こうした経験から、大城さんは「つくったものを人に喜んでもらえることが嬉しい」と感じるようになりました。そして、徐々に、お皿やお茶碗、コップなどの制作にも取り組み始めました。

 

大城さんをはじめ、ぴゅあに通う他の利用者がつくった陶芸品などは、県内外の雑貨屋さんでも販売されていますが、大城さんのつくった素朴な作品たちは、人気を集めているそうです。

焼きに入る前の大城さんの作品の一部。いすゞ(ISUZU)の車たちとともに、カップやお皿、お茶碗が並びます。

 

運転席のシート、ハンドル、ギア……
細部にまでこだわった作品づくり

大城さんの作品を、さらに詳しくみていきましょう。

まず、大城さんが好むモチーフは、なんといってもいすゞの車ですが、たくさんある車のなかでも「ダンプカーなどの大型車が特に好き」と話します。

 

大城さんのつくる作品は、細部までこだわってつくられていますが、お手本は見ずにつくるそう。

大城さんに聞くと「出勤のときに見た車を覚えていて、あとは想像しながらつくっている」。

大城さんの作品は、沖縄県身体障害者福祉協会主催の沖縄県身体障害者福祉展で、五度の受賞経験があります(平成28年度特別賞、令和2年度審査委員賞など)。

 

大城さんの作品を細部まで見てみると、席が2列の車と1列の車があったり、ドアが2つあるもの、1つあるものがあったりと、素人目にはわからないほど細かな部分までこだわってつくりあげています。我喜屋さんは、そんな大城さんを「好きだからこそ、ここまでこだわれるのではないか?」と見ています。

 

かつての販売イベントで、いすゞの自家用車(「ビッグホーン」)に乗っていた方が、大城さんがつくった作品(ビッグホーン)を見て、「自分の愛車が、こんなにかっこよくつくられていて嬉しい!」と喜んでいた——そんな出来事があったそう。

 

大城さんの「好きだからこその、こだわり」が、同じくいすゞの車を愛する方に伝わったのではないでしょうか。

大城さんの作品は、運転席のシートやハンドル、ギアなど、細部までつくり込まれています。

 

これからも、いすゞへの愛を形にしていく

大城さんは、これからも変わらず、いすゞの車をつくり続けていく様子。「次は大型バスをつくりたい」と、取材陣に意気込みを教えてくれました。

 

また、我喜屋さんは「せっかく、これだけの作品をつくっているので、いつか、いすゞさんに、この作品を見てもらいたい」と話します。

細部にこだわりながらつくり続けてきた作品たちと、大城さんの一途ないすゞ(ISUZU)への愛が、いすゞ自動車を含めたさまざまな方に届いていくことを、取材陣も願わずにはいられません。

作品へのこだわりについて、取材陣に教えてくれる大城さん。素朴で淡々と、控えめな語り口ながらも、一つひとつの作品への愛情が伝わってきました。

 

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